役割等級制度における賃金と行動評価・成果評価の関係

役割等級制度を採用している企業にとって、行動評価と成果評価をどのように賃金や評価に反映させるかは重要な課題です。特に非管理職と管理職では求められる役割や責任が異なるため、全等級で同じ比率を適用するのではなく、等級ごとに適切な比率を設定することがポイントです。
この記事では、役割等級制度を踏まえた行動評価と成果評価の比率設計について詳しく解説します。
行動評価と成果評価の違い
まず、行動評価と成果評価の基本的な違いをおさらいしましょう。
行動評価とは?

社員の業務への取り組み方や姿勢、チームワーク、コミュニケーション能力などを評価します。主に中長期的な人材育成や会社の価値観に沿った行動の定着を目的とします。
成果評価とは?
売上や利益、プロジェクトの成功など、具体的な業績や結果を評価します。短期的な目標達成や事業成果への貢献度を測る指標です。
等級ごとの比率を設定する
等級が上がるにつれて責任範囲が広がり、期待される成果も変化します。そのため、非管理職と管理職で評価の比率を変えることが合理的です。
非管理職(6段階)の場合
初期等級(例: 1~3等級)
基礎業務の習得や基本的な行動が求められる段階です。成果よりも行動を重視する比率が適切です。
◆比率例: 行動評価70% / 成果評価30%
中間等級(例: 4~5等級)

業務を自主的に遂行し、周囲をサポートする役割が求められる段階です。行動と成果のバランスを取った比率が適しています。
◆比率例: 行動評価50% / 成果評価50%
上位等級(例: 6等級)
チームリーダー的な役割が増え、成果責任が重視される段階です。成果評価の比率を高める設計が効果的です。
◆比率例: 行動評価40% / 成果評価60%
管理職(3段階)の場合
初期管理職(例: 課長補佐など)
チーム全体の成果を最大化する役割が求められますが、部下育成や組織運営といった行動面も評価対象とすべきです。
◆比率例: 行動評価30% / 成果評価70%
中間管理職(例: 課長)
チームや部門の成果責任がさらに重視される段階です。成果評価を中心とした設計が適切です。
◆比率例: 行動評価20% / 成果評価80%
上級管理職(例: 部長など)
会社の戦略目標を遂行し、事業部全体の成果を担うポジションです。成果評価をほぼ全てとする設計が理想です。
◆比率例: 行動評価10% / 成果評価90%
比率を変えるメリット
等級ごとに比率を変えることで、次のようなメリットが得られます。
役割に応じた公平性の向上
各等級の役割が明確になり、社員が自分に期待されることを理解しやすくなります。
評価基準への納得感を強化
社員が評価の内容に納得し、モチベーションの向上につながります。
成長と成果の両立
成果を重視すべき等級では成果が報われ、行動を重視すべき等級ではプロセスが評価されるため、バランスの取れた成長が促されます。
設計時の注意点

評価比率を設計する際には、以下の点に注意しましょう。
バランスの取り方
行動評価に偏りすぎると主観的と感じられ、成果評価に偏りすぎると短期成果に集中しすぎる恐れがあります。
管理職への評価者トレーニング
特に行動評価は主観が入りやすいため、評価者へのトレーニングを徹底しましょう。
定期的な見直し
会社の状況や事業環境の変化に応じて、評価比率を定期的に見直す仕組みを整備しましょう。
役割等級制度における行動評価と成果評価の比率は、全等級で同じにするのではなく、等級ごとの役割や責任に応じて設計することが重要です。非管理職では行動評価を重視し、管理職では成果評価を重視するなど、役割に合った設計が社員の成長と組織の成果を両立させます。
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