職務グレード

職務グレードの設定は、職務の価値を基にして給与のランク(グレード)を決定するプロセスです。以下の手順で職務グレードを設定します。

職務評価基準の確立

職務を評価するための基準を明確にします。一般的な評価基準には以下の項目が含まれます。

  • 職務の複雑性: 職務がどれほど複雑か、どれだけの知識やスキルが必要か。
  • 責任の範囲: 職務に伴う責任の重さ、影響範囲。
  • 意思決定の重要性: 職務が行う意思決定の重要度と頻度。
  • 問題解決の能力: 職務に必要な問題解決能力のレベル。
  • コミュニケーションの必要性: 内部および外部とのコミュニケーションの必要性。
  • チームワーク: チームでの協力や他者との連携の重要性。

職務の評価とスコアリング

上記の基準に基づいて、各職務を評価し、スコアを付けます。具体的には、以下のようにします。

  • 各評価基準に対して重みを設定(例えば、複雑性40%、責任30%、その他の要素を30%など)。
  • 各職務を評価し、スコアを算出。

評価スコアの集計

全職務の評価スコアを集計し、一覧表を作成します。この際、同一スコア帯の職務をまとめてグループ化します。

グレードの設定

評価スコアに基づいて、職務をいくつかのグレードに分類します。以下のような手順で設定します。

1)スコアの分布を確認: 全職務のスコア分布を確認し、自然な区切りを探します。
2)グレード数の決定: 企業の規模や職務の多様性に応じて、適切なグレード数を決定します。
一般的には、5~10のグレードが設定されます。
3)グレードの境界設定: スコアの分布に基づいて、各グレードの境界を設定します。
例えば、スコア0~20はグレード1、21~40はグレード2、といった具合です。

各グレードに対応する給与レンジの設定

各グレードに対して、以下の要素を考慮して給与レンジを設定します。

  • 市場給与水準: 同業他社の給与水準を参考にします。
  • 企業の財務状況: 企業の予算や財務状況を考慮します。
  • 内部公平性: 企業内での公平性を確保します。

具体的な給与レンジは、以下のように設定できます。

  • グレード1: 300万円~400万円
  • グレード2: 400万円~500万円
  • グレード3: 500万円~600万円

グレードと職務の確認と調整

作成したグレードと職務の対応を確認し、必要に応じて調整します。

  • 関係者のフィードバック: 部門長や管理職からフィードバックを受けます。
  • 修正と最終確認: 必要に応じて修正を行い、最終的なグレード設定を確定します。

実施とコミュニケーション

新しい職務グレード制度を従業員に説明し、理解と納得を得ます。

  • 説明会やトレーニング: 新制度の趣旨や具体的な運用方法について説明します。
  • ドキュメントの整備: グレードと対応する給与レンジ、評価基準を含むドキュメントを整備します。

継続的な見直し

制度の運用開始後も、定期的に評価や見直しを行い、必要に応じて調整や改善を行います。

職務グレードの設定は、企業の公正性と透明性を高めるために重要なプロセスです。綿密な計画と関係者の協力が必要です。

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