裁量労働制をめぐる最近の動き
裁量労働制をめぐって最近、推進と廃止・縮小という真逆の動きが出ています。
政府は裁量労働制に関して検討会を開催しています。
労働者保護も含め様々な角度から検討が行われているようですが、基本的には働き方改革の一環として普及を進めようという意図があると思われます。
一方、6月2日の日経新聞には、みずほフィナンシャルグループが企画業務型裁量労働制を廃止するということが報じられていました。
記事によると、「一人ひとりの労働時間が見えにくく、過重労働を招く懸念」が背景にあるようです。
裁量労働制とは
裁量労働制は、業務の時間配分や進め方を本人の裁量にゆだねる制度です。
このような場合、厳密な労働時間管理は難しくなりますから、労働時間を「みなす」ということになります。
裁量労働制には、SE、デザイナーなど一定範囲の専門職を対象にした「専門業務型裁量労働制」と、本社部門などで事業企画などを行う人を対象にした「企画業務型裁量労働制」があり、それぞれ導入要件が定められています。
自己裁量で業務を進めることができることは、本人のモチベーションをアップさせ、生産性・創造性を向上させると言われています。
特に、いわゆる「知識労働」ではそのようなことが強く出ると思われます。
裁量労働制のねらい・目的はまさにこの点にあります。
このような業務では、労働時間と仕事の成果の相関関係は薄くなります。
そもそも、時間配分などを本人に委ねるわけですから、労働時間の厳密な管理は不可能です。
そのために労働時間をみなすことにしています。
裁量労働制の悩ましさ
ここが裁量労働制の「肝」あるとともに、最大の問題点でもあります。
このみなし時間は、対象業務を遂行するには普通はどのぐらいの時間がかかるかというのが根拠になります。
しかしこの時間を把握するのが難しい。
多分正確な把握は不可能です。そもそも、そういうことができないような業務が対象になっているのですから。
また、元々の制度導入の動機が残業代削減にあるというケースも少なくありません。
このような要因が重なって裁量労働制が事実上の長時間労働の温床になっているのが多くの実態のようです。
このように、裁量労働制にはいくつかの見過ごせない問題点はあります。
また、制度の使い勝手も正直いいとはいえません。
裁量労働制の活用を考えると
しかし、知識労働が中心となり、働く人の自律性・裁量性のあり方が競争力の決め手となっている現代、裁量労働制の活用は有効な選択肢です。
まず、基本中の基本ですが、制度導入にあたっては本人の自己裁量性を柱にします。
「マイクロマネジメント」はNGです。
また、制度導入後も業務実態の把握は常にやるようにし、みなし時間と明らかにずれが出ているようであれば見直します。
そして何より、社員個々人の業務成果と、成果に至るまでのプロセスをしっかり把握し、それに対応した処遇をすることです。
「いい仕事をすれば必ず報われる」というかたちになることが、裁量労働制だけの話に限らず、人事諸制度の成功のカギかと思われます。
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