組織目標達成のために
就業規則の診断、次は会社秩序や組織運営、会社防衛に関する事項です。
就業規則が何のためにあるのかといえば、それは組織が成果を上げ、組織目標を達成するためです。
組織は複数の人が集まって何らかの目標を達成するために存在します。
会社組織であればそれは利益を上げるということになります。
組織とは何か、どのような組織が良いのかということについては、数多くの専門が理論を展開しています。
ここでそこに立ち入るつもりはありませんが、組織を作るのは結局のところ1人ではできないことを実現するためですね。
組織にはルールが必要
人を集めて組織を作れば、そこにはルールが必要になります。これがなくては、目標を達成することはできません。
例えば製造ラインで働く人達が好き勝手な時間に出社していては、ラインはまともに動きません。
あるいは小売業の販売の現場で、販売員がしばしば現場を離れていては、商品を買いに来た人が困ってしまいますね。
そのようなことから、始業・終業時刻や、勤務時間中は職場を離れないようにといったことが就業規則に定められているわけです。
また、このような規則に違反したり何か不祥事が起こったときには、会社は何らかの罰則を課さなくてはなりません。これを懲戒といいます。
それがないと、会社のルールを守らない従業員がでてきてしまいます。
処罰も含め、様々なトラブルにきちんと対応することが必要ということですね。
就業規則を診断する際には、会社秩序維持と組織運営という観点が必要です。
そして、必要なルールは整備されているか、ルール違反や不祥事に対応できるか、それを含めた労務トラブルに対応できるかという3つの側面から診断します。
服務
1つ目は必要なルールは整備されているかということです。
就業規則の中に「服務」に関することが定められているか、内容はどうなっているのかということですね。
服務というのは、会社で働く人にこういう風にして欲しいとか、こういう事はやってはいけないといったことを定めたものです。
内容としては、従業員の基本的な義務、秘密保持、競業避止、PC・インターネットの私的利用禁止、政治活動・宗教活動、不祥事の際の調査協力義務、ハラスメント禁止などがあります。
診断ではこれら必要なことが網羅されているかどうかを見ていきます。
懲戒
次に必要なのが懲戒ということです。
これは社員が何か不始末をしてしまったときの罰則ですね。
服務が予防策、懲戒は何か起こってしまった時の対応策ということになります。
懲戒に関してまず必要なのは、どういう場合に処分の対象になるのかということです。
これを「懲戒事由」といいます。
ここに記載されていない事由で懲戒処分をすることは基本的にはできません。
ただ前もってあらゆることを上げておくということは不可能ですので、様々な懲戒事由を並べた最後に、「前各号に準ずる事由があるとき」といった包括的な条文を入れておきます。
このようなやり方も有効です。
ただしそういう場合は、ある出来事があったときに「準ずる事由」になるかどうかということを改めて判断しなくてはならなくなります。
懲戒処分は判断が難しいことが少なくありません。
そのため想定できることはできるだけ前もって定めておいたほうがベターです。
次は処分の内容です。
懲戒処分の内容には、譴責、出勤停止、減給、降格などがあります。そして一番重たいものとして懲戒解雇があります。
処分の内容も前もって決めておかないといけません。
就業規則に予め定められていない処分をすることはできません。
そして懲戒の手続きです。
処分決定までの手続が定められているかがポイントです。
特に懲戒解雇のような重い処分の場合は、処分決定までのプロセス・決定者、本人の弁明の機会などが定められ、きちんと運用されていないと、処分が無効とされる可能性があります。
ただ、ここで注意しなくてはいけないのは、いかなる懲戒処分でも賞罰委員会を開いて決めるとしてしまっていないかということです。
こうなっていると、比較的軽微な処分でもいちいち委員会を開かなくてはいけないということになってしまいます。
このように就業規則は組織を維持し、会社をトラブルやリスクから守ると言う機能を持っています。
そのような観点で就業規則を診断していきます。
あなたの会社に合った就業規則を作成するために
就業規則は法的義務という枠組みを超えて、組織を活性化させ適法に事業活動を行うためにとても重要なツールです。
しかし、ご自身で膨大な法令情報を把握し、自社にとって最適なルールや働き方を就業規則として明文化することは難しいと感じる方も多いと思います。
ただ形を整えるだけではなく、きちんとした就業規則を整備するためには、やはり就業規則の作成や見直しに強い社会保険労務士に依頼することをオススメしています。
ヒューマンキャピタルでは、丁寧なヒアリングで現状を診断し、会社の実情にフィットした就業規則をご提案する「就業規則コンサルティング」サービスを行っていますので、就業規則の作成・見直しでお悩みの方はぜひご相談ください。