ホワイトカラーの能力診断開発ツール
5月16日発行の労働新聞に、厚生労働省がホワイトカラーの能力診断開発ツールを開発し公開したという記事が掲載されていました。
40歳から60歳代のホワイトカラーの職種向けで、「ポータブルスキル見える化ツール」というそうです。
専門技術、専門知識のほか、仕事のし方であるとか、人との関わり方といったことを構成要素としているようです。
ホワイトカラーは、公的な資格とか、汎用的な診断ツールで能力を測ることが難しいと言われています。
そうしたことが、労働市場の流動性を阻害しています。
もちろんそれはホワイトカラーに限ったことではないとは思いますが、ホワイトカラーでは特にそれが顕著だということになるんだと思われます。
「ビジネスキャリア検定試験」という仕組みもあります。これがもっと普及し、能力診断ツールとして活用されるようになることが望まれます。
試験、診断ツールの位置づけ
ただ、どのようなツールであっても、会社固有のノウハウやスキルといったものは、公的試験などでは測りようがありません。
また問題は、試験ができるからその人は仕事の能力があるということには必ずしもならないということです。
いわゆる学校秀才といったような、ペーパー試験の得意な人が有利になってしまうということも出てしまいます。
さらには、仕事が忙しくなくて、試験勉強をやる時間が十分ある人ほど、良い得点を取ってしまうという変なことにもなりかねません。
したがって、試験というのはあくまでも全体の一部ということになると思われます。
能力を総合的に見るか、分析的に見るか
その人の能力を見る場合、視点は2つあります。
1つは、職業能力全体を1つの塊として総合的に捉えるという視点です。
知識やスキルといった個別要素の合計値がそのままその人の全体の能力になるというわけではありません。
様々な要素が相乗効果を発揮して、単純合計以上のパワーを発揮することが当然ありますし、そうであるべきかと思います。
最終的に重要なのは、その人の総合力ということになります。
もう1つは、この知識、スキルといった能力を構成する要素を個別に捉えるという視点です。
知識、経験、スキルといった個別の要素に分解して、それぞれがどのくらいのレベルにあるのかを把握することもやはり必要です。
それによって、その人が何を得意にしているのか、どの部分はまだいまひとつなのかといったことを、会社や本人自身がきちんと把握することができます。
このコラムで触れたビジネスキャリア検定は、主に知識を問うものです。
また、上記の記事に取り上げられていたツールも、個別要素に分解された能力を測定するものと思われます。
診断ツールのようなものでで測れるのは、多分そちらになるでしょう。
「総合力」は測りようがないのではないかと思います。
会社独自の能力、ノウハウ
また会社に必要な能力には、どこにいっても概ね同じ汎用的な能力と、会社独自の能力があります。
診断ツールなどで測るのは、汎用的なものです。
よく「ウチはよそとは違うから、汎用的な診断はできないよ」と言う方がいます。
(どの会社も、よそとは違いますが…)
ここで改めて考える必要があるのは、会社独自の知識やノウハウという中身がどうなっているのかです。
というのは、これは会社独自の能力であると思っているものであっても、全てがそうであるとは限らないからです。
本当に会社独自のものと、汎用的なものを一緒くたにしてしまって、会社独自だと思っているような面が多々あるのではないでしょうか。
そうしたところをきちんと分析して、会社の必要とする能力やノウハウを、汎用的な知識・スキルと会社固有の知識・スキルやノウハウに分類整理するのが良いのではないかと思われます。
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