人事評価をした結果は、さまざまな人事施策や人事処遇に使われます。
人事評価の目的のひとつに、賃金・賞与の決定があります。

賃金と人事評価

人事評価結果を賃金に結び付ける際に考えるべきは、次の2点です。

  • 能力、行動、成果など、人事評価基準にはさまざまなものがあるが、そのなかのどれを賃金に反映させるか。たとえば、賃金は能力評価の結果を使うのか、成果評価の結果をつかうのか。
  • 評価による賃金格差をどの程度にするか

人事評価基準

賃金は労働の対価であると同時に、社員の生活の糧でもあります。
その点は賞与も同じなのですが、月々の賃金の方が、日々の生活との結びつきが強くなります。
つまり、賞与に比べて賃金の方が、生活保証的な要素が強くなるといっていいでしょう。
そのため賃金については、それなりのの安定性が必要になります。

その観点から人事評価基準とのリンクを考えると、「業績・成果」といった期によって上下変動が大きく振れる可能性の強い要素よりも、安定的に発揮される「能力」や「行動」を重視するのが適当でしょう。

ただし、毎期の成果も反映させたいというポリシーがあれば、成果も反映させます。
また、管理職や幹部職などランクが上に行くほど成果の要素を強めるという方法もあります。

人事評価による賃金格差

この部分の設計によって、賃金のインセンティブ機能の強さは当然異なります。
一般に、賃金格差を大きくつける制度にする場合、評価基準に成果を入れることが多いようです。
また、ランクが上になるほど格差を大きくするのが一般的です。

賞与と人事評価

月々の賃金に対して賞与は、会社の業績や一人一人の成果を強く反映させるのが一般的です。
そして、賃金が安定的・継続的なものであるのに対し、賞与は、成果に対応した「払い切り・リセット」です。つまり、今期の成果に対応して金額が算定されるのが原則ということです。

したがって賞与の場合は、人事評価基準として「成果」を重視するのが妥当と思われます。

賞与の算定式と人事評価の関係

たとえば、次の算式で賞与が計算されるとします。

「賞与算定基礎額(基本給など)×月数×人事評価係数」

「月数」はその期の会社の業績に応じて決まります。
「人事評価係数」は、個々の人事評価結果に応じて、たとえば、A評価=1.2、B評価=1.1などと設定します。

「人事評価係数」にょって、賞与額がどうなるか(どのぐらいのメリハリ・差がつくのか)を見ていきましょう。

<前提条件>
・賞与算定基礎額:基本給
・基本給額=300,000円
・月数=2ヵ月

<計算例1>
評価係数:S=1.2、A=1.0、B=0.8

評価S評価A評価B
720,000円600,000円480,000円

<計算例2>
評価係数:S=1.5、A=1.0、B=0.5

評価S評価A評価B
900,000円600,000円300,000円

簡単な計算例ですが、人事評価係数の設定によって賞与額の差のつき方に大きな違いがでるのがお分かりいただけると思います。

人事評価結果を賃金に結び付ける具体的なやり方、賞与制度の設計についてはまた別の機会にお話し致します。

わが社の人事評価制度、賃金制度をどうするか

以上、今回は人事評価と賃金・賞与の関係について解説させていただきました。

会社が発展していくうえで、人事制度、賃金制度の整備は欠かせません。
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