評価基準とは何か
もし「あなたの部下を評価してください」といきなり言われたら、困ってしまいますよね。
評価しろと言われても…部下の何を評価すればいいの?今期の営業成績?それなら会社が把握しているよね。
人柄?でもそれは変だよね。
できる社員かそうでないか?
でも、「できる社員」って、何?
こんなことになってしまいそうです。
評価基準は人事評価の「物差し」
人事評価は簡単にいってしまうと、その人ができる社員か、まだそうでないのかを判定しようというものです。
問題は「「できる社員」って、何?」ということです。
これをきちんと定義しないと、「人事評価なんて無理」となるか、「まあ、頑張っているね」といったイメージ評価になってしまいます。
こうした問題をクリアにし、何を物差しに評価すればいいのかを示したのが「評価基準」です。
つまり評価基準とは、会社が社員に対して求める要件を尺度化したものです。
評価基準の細目が「評価項目」となります。
評価基準には何があるか
評価基準には様々なものがあります。
当然会社によっても様々ですが、共通的な要素を分類整理すると次の3つになります。
- 能力
- 情意
- 行動
- 成果、業績
能力評価
能力とは、担当する職務を遂行するうえで必要な職務遂行能力を指し、次の3つからなります。
・テクニカルスキル:業務知識・スキル
・ヒューマンスキル:コミュニケーション力、リーダーシップなど
・コンセプチュアルスキル:問題解決力、企画力など
情意評価
また情意とは、職務への取り組み姿勢を指します。
責任感、協調性などが上げられます。
行動評価
行動とは、担当職務を遂行し、与えられた役割を果たすうえで取るべき行動です。
顧客満足行動、新規提案行動などが上げられます。
能力基準、行動基準の2つは、似たような項目名称となります。
しかし、能力基準は、「~できる」という表現になるのに対し、行動基準の場合は、「~している」という、実際にとっている行動で表現されます。また、成果との結びつきがより強く意識されます。
例えば「コミュニケーション」という評価項目に対して、能力基準、行動基準それぞれの表現は次のようになります。
能力基準:効果的な話術を身に着けており、相手に理解してもらいたいことを過不足なく伝えることができる。
行動基準:相手が購買行動を起こすよう、自社製品やサービスの特長を過不足なく伝えている。
成果評価
成果評価は、半期とか1年などの一定の期間に上げたアウトプットを対象にします。
目標管理制度と組み合わせることが多く見られます。
具体的なアウトプットが評価の対象になりますので、評価項目を予め設定することはできません。目標管理制度の中で被評価者が成果を自己申告するか、評価者が個々の被評価者の成果を記述することによって評価をします。
成果には最終成果と中間成果があります。
最終成果だけを見るという考え方もありますが、そうすると、その期に結果が出ることにしか力を入れなくなるという弊害が出る恐れがあります。
成果はできるだけ数値などで定量的に把握するようにします。
売上数字などが典型例です。
しかし、職務によっては、定量的な結果が出ないものもあります。管理部門などが典型例です。
そのような場合は、定性的な成果で構いません。つまり、「どのような状態になったのか」ということを成果として捉えるようにするわけです。たとえば、「届け出書式を見直すことによって業務の流れをスムースにした」といったことが上げられます。
また、個人の上げた成果だけでなく、チームで上げた成果も対象にするべきです。
そうしないと、社員がみな個人プレーに走ってしまうという弊害が出ます。
チーム成果を見る場合は、チーム全体の成果を確認した上で、チーム成果に対する被評価者の貢献度を評価します。
評価基準を設定するには
具体的な評価基準を設定するためには、次の2つのアプローチがが必要です。
- 職務分析・職務評価作業を通じて、成果を出すために必要な要件を洗い出す。
- 経営戦略と人事評価を結びつける。
職務分析とは、会社の職務を、インタビューや質問紙、観察などの方法で洗い出し、職務内容や職務遂行に必要な要件を分析する作業です。また職務評価は、洗い出した職務を点数法や序列法などの手法でレベル分けすることです。
その結果を元に、必要な要件を設定していきます。
経営戦略と人事評価基準のリンクも重要です。
たとえば、官僚的な体質を転換し、顧客満足度を上げていこうという戦略を立てたのであれば、人事評価基準も、この要素を強調したものに変えていく必要があります。
会社がいくら「新規戦略」を打ち出しても、評価基準が旧態依然のままだと、社員の行動は変わりません。戦略を実現するためには、人事評価基準の見直しは必須なのです。
わが社の人事評価制度、賃金制度をどうするか
以上、今回は人事評価基準について解説させていただきました。
会社が発展していくうえで、人事制度、賃金制度の整備は欠かせません。
ヒューマンキャピタルは豊富な経験と専門性を元に、丁寧なヒアリングと綿密なミーティングをもってクライアント様に最適な賃金制度をアドバイスをさせていただきます。
ぜひ一度、ご相談ください。