働く人が会社に「裏切られた」と感じたら、その人はどういう行動を取るでしょうか?
様々なことが考えられますが、いい方向に向かわないことだけは確かでしょう。
機密漏洩など、会社の経営を揺るがすような行動に走る可能性もあります。
また、そのような思いをもったまま会社を辞め、どこかに再就職した場合、再就職先でも会社に不信感をもった状態でいるかもしれません。
ここで重要になるのが「心理的契約」といわれるものです。
これは、会社、働く人双方の信頼関係のベースともなるもので、会社の立場に立つと「ウチの社員はこのぐらいは働いてくれるだろう、良識にのっとって行動してくれるだろう」と、働く人の立場に立つと「会社はこのぐらいには報いてくれるだろう」という期待感のようなものです。
終身雇用制などがまさにそれで、働く人の多くは、「ウチの会社は、よほどひどいことをしない限りは解雇しないだろう」と思っています。(いました)。
これがいま、大きく揺らいでいます。
働く人の多くが、「会社は雇用を守るとは限らない」と思い始めています。
もちろん、会社の業績が悪化し存続も危ぶまれるような状況になれば、整理解雇もあるということは、誰でも分かっています。問題はやり方ですね。このあたりはまた別の機会にお話ししいと思います。
ここで勘違いしてはならないのは、「終身雇用は死守すべし」という話ではないということです。
少し別の角度の話をしてみます。
もし会社が「わが社の賃金は実力主義」と言っていたとします。ところが実態は年功序列で、誰が見ても成果をまったく上げていないような社員が年齢が上というだけで高い役職・賃金を得ていたとしたら、社員はどう思うでしょうか。
年功序列の是非を問うているのではありません。
問題は、言ってることとやってることが全然違うということなのです。
このようなとき、人は「裏切られた」と感じるのではないでしょうか。
つまり「心理的契約」が崩れたということです。
上記の例でいえば、会社は最初から「わが社の人事は年功序列」と言い切ってしまえばいいのです。
それを変に格好をつけて、やってもいない実力主義人事を標榜するからおかしなことになってくるわけです。
言行不一致は一番やってはいけないことでしょうね。