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労働契約法の実務ポイント(13)異動

◆人事異動は原則として会社の権限

会社に入社すると、どこかの部署に配属されます。

正社員の場合、定年まで入社時の部署で過ごすということは稀で、定期、あるいは不定期に部署を移ります。

また、部署が変わっても職種は変わらない場合もあれば、部署も職種も変わる場合もあります。
(たとえば、前者は職種は営業のまま部署を移る場合、後者は営業部から人事部に移る場合を指します)

これを、「人事異動」とか「配置転換」といいます。

また、部署は変わらないけど職種が変わるという場合もあります。

たとえば、同じ部署で技術職として仕事をしていた人が、営業職に変わる場合などです。

このようなものを、職種変更といいますが、これも人事異動のひとつと考えていいでし ょう。

このような人事異動も、労働契約内容の変更です。

では、人事異動を実行する場合、双方の合意が必要なのでしょうか?

そうではありません。 労働契約とは、労働者が、自己の提供する労働力を包括的に使用者に委ねる契約と解釈 されています。

したがって使用者は、労働契約に基づき、労働者の職務、勤務場所等を 決定・変更する権限を有しています。

これを「人事権」といい、労働契約に当然に付随する権限とされています。

したがって、人事異動の際に、会社が本人の同意を得る必要はありません。

◆特約がある場合は別

ただし、労働契約において、人事異動は行わない、とか、職種の変更は行わない、とい う特約があれば別です。

その場合は、人事異動は行えませんし、どうしてもやらなくてはならない事情が発生し たら、本人の同意を得なくてはなりません。

◆就業規則等に明記しておく

前述の通り、人事権は会社がもつ権限です。

しかし、その権限が労働契約上使用者に付与されていなくてはなりません。

そのためには、就業規則や労働契約に人事異動のことを記載する必要があります。

◆権利の濫用は許されない

また、会社に人事権があるといっても、権利の濫用は許されません。

特に、転勤を伴う人事異動は注意が必要です。

判例でも、「転勤命令について業務上の必要性が存しない場合、または業務上の必要性 が存する場合であっても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたもの であるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく越える不利益を負わせる ものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用 になるものではない」(東亜ペイント事件・最高裁1986年7月14日)としています。

つまり、次のような場合は、権利の濫用として異動命令は無効とされます。

  • 業務上の必要性が存しない場合
  • 他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき
  • 労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく越える不利益を負わせるものであるとき

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