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労働契約法の実務ポイント(10)〜就業規則と労働契約(4)

◆就業規則と労働契約はどちらが優先される?

これまでお話してきたとおり、合理性など所定の要件を満たした就業規則は、個々の労働契約の内容となります。

では、個々に結んだ労働契約の内容と、就業規則の内容が異なっている場合はどうなるのでしょうか?

たとえば…

ケース1
・就業規則:所定就業時間1日7時間
・Aさんの労働契約:所定就業時間1日8時間

ケース2
・就業規則:営業手当月額3万円
・Aさんの労働契約:営業手当月額5万円

ケース1、ケース2それぞれで、Aさんの労働契約は、どちらが有効になるのでしょうか?

労働契約法第12条には、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契 約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就 業規則で定める基準による。」とあり、就業規則が労働契約より優先されることが明記 されています。

この規定は、労働契約法で新設されたものではなく、労働基準法第93条に元々定めて あったものです。

なお、労働基準法第93条は、労働契約法施行後は、次のようになります。

「労働契約と就業規則との関係については、労働契約法第12条の定めるところによ る。」

したがって、ケース1の場合は、就業規則の規定が適用されます。

◆就業規則より有利な労働契約は有効

これまでお話ししてきたことは、労働契約に定めた労働条件が就業規則で定める基準に 達しない場合にあてはまることです。

個別の労働契約が、就業規則の労働条件を上回っている場合は、労働契約が有効です。

これは、たとえば高度な専門性をもった人材を高額報酬でスカウト採用する場合などが あてはまります。

以上から、ケース2の場合は、労働契約の規定が適用されます。

御社では、従業員1人1人の労働条件と就業規則の関係はどうなっていますか?
ズレや矛盾は生じていませんか?

一度、点検してみることをお勧めします。

さらに… 「正社員用の就業規則はあるけど、パートタイマーの就業規則は無い」 こういう会社は少なくありません。

「当社は、パートさんと個々に文書で労働契約書を交わしているから大丈夫」 −−そうでしょうか?

次の項でお話ししましょう。

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