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就業規則 社会保険労務士

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人事・労務講座

採用時の年齢差別禁止

◆採用時の年齢差別禁止

2007年10月施行の改正雇用対策法のポイントのひとつです。

条文を新旧対照してみましょう。

(新)
第10条 事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。

(旧)
第7条 事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときは、労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えるように努めなければならない。

このように、改正前も採用時の年齢差別の条項はありました。

しかし、改正前が、「機会を与えるように努めなければならない」という努力義務であったのに対し、改正法では「機会を与えなければならない」、遵守義務に強化されています。

◆基本は機会均等

それでは、会社は募集・採用にあたって、年齢差別は一切許されないのでしょうか?

ここでまず押えておきたいのは、法が義務づけているのはあくまでも、「機会を与える」こと。

つまり、「機会の均等」であって、「結果の平等」ではないということです。

だからといって、形式的に機会均等にしていても、実質的に年齢差別をするのは、法の精 神に反することになります。
たとえば、書類選考で一定年齢以上を自動的に不合格にするといったことは、すべきではあ りません。

◆年齢制限禁止には例外がある

雇用対策法施行規則に、次の例外事項が定められています。

1号 定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない 労働契約の対象として募集・採用する場合

2号 労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合

3号のイ 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めの ない労働契約の対象として募集・採用する場合

3号のロ 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当 程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象とし て募集・採用する場合

3号のハ 芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合

3号のニ 60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の 施策を活用しようとする場合に限る。)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

では、具体的に、どんな場合ならOKで、どんな場合だと「×」とされるのでしょうか?

◆具体的な制限事例

それでは、具体的な事例をみていきましょう。

1号 定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

期間の定めのない労働契約とすることが認められます。

【認められる場合(例)】

○ 「60歳未満の方を募集(定年が60歳)」

【認められない場合(例)】

■有期労働契約である場合
× 「60歳未満の方を募集(契約期間6ヶ月)」

■上限年齢と定年年齢が一致していない場合
× 「60歳未満の方を募集(定年が63 歳)」

■下限年齢を付している場合
× 「40歳以上60歳未満の方を募集(定年が60歳)」

■業務の習熟に一定期間が必要であることを理由に、上限年齢を下げている場合
× 「□□業務の習熟に2年間必要なため、58歳以下の方を募集(定年が60歳)
→ 上限年齢を60歳未満とした上で、「□□業務の習熟に2年間必要である」旨を求人に明示。

2号 労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合

労働基準法等の法令において、特定の年齢層の就業が禁止・制限されている業務につい ては、年齢制限をすることが認められます。

【認められる場合(例)】

○ 「18歳以上の方を募集(労働基準法第62条の危険有害業務)」

○ 「18歳以上の方を募集(警備業法第14条の警備業務)」

3号のイ 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めの ない労働契約の対象として募集・採用する場合

長期勤続によるキャリア形成の観点から、新規学卒者等をはじめとした若年者等を期間 の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合には、上限年齢を定めることが 認められます。

ただし、 @対象者の職業経験について不問とすること A新規学卒者以外の者にあっては、新規学卒者と同等の処遇であること −−という要件を満たす必要があります。

※ 「同等の処遇」とは、新卒者と同様の訓練・育成体制、配置・処遇をもって育成しようと している場合を指すものであり、賃金等が新卒者と完全に一致しなければならない趣旨 ではありません。

【認められる場合(例)】

○ 「35歳未満の方を募集(職務経験不問)」

○ 「40歳未満の方を募集(簿記2級以上)」 (必要な免許資格を定めていても、実務経験を有する資格でなければ認められる)

※ 「若年者等」とは、必ずしも35歳未満に限られるものではありません。

【認められない場合(例)】

■有期労働契約である場合
× 「35歳未満の方を募集(契約期間6ヶ月)」

■職務経験を付している場合
× 「40歳未満の方を募集(□□業務の経験のある方)」

■下限年齢を付している場合
× 「20歳以上35歳未満の方を募集」

3号のロ 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当 程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として 募集・採用する場合

技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種(※1)の特定の年齢層(※2)において労 働者数が相当程度少ない(※3)場合には、この特定の年齢層に限定して募集・採用する ことが認められます(ただし、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場 合に限ります。)。

※1「特定の職種」については、技能・ノウハウの継承が必要となる具体的な職種(注)の 名称を用いてください。

(注)厚生労働省『職業分類』の小分類若しくは細分類又は総務省『職業分類』の小分類を 参考にしてください。

例:機械・電気技術者(中分類)における電気通信技術者(小分類)、農林水産業・食品技 術者(中分類)における水産技術者(小分類)、家庭生活支援サービス職業従事者(中分 類)におけるホームヘルパー(小分類)など

※2「特定の年齢層」は、30歳〜49歳のうちの特定の5〜10歳幅の年齢層としてください。

※3「相当程度少ない」場合には、同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して労働者数が 1/2以下である場合が該当します。
「相当程度少ない」かどうかを判断するに当たっては、企業単位で判断することが原則とな りますが、人事管理制度上、一部の事業所で採用などの雇用管理を行っている場合には、 一部の事業所を単位として判断とすることも認められます。

【認められる場合(例)】

○ 「□□社の電気通信技術者として30〜39歳の方を募集 (□□社の電気通信技術者は、20〜29歳が10人、30〜39歳が2人、40〜49歳が8人)」

【認められない場合(例)】

■「30歳から49歳」の範囲に収まっていない場合
× 「□□社の電気通信技術者として25〜34歳の方を募集」

■年齢幅が「5〜10歳」を超えている場合
× 「□□社の電気通信技術者として35〜49歳の方を募集」

■同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して1/2以下となっていない場合
× 「□□社の電気通信技術者として30〜39歳の方を募集 (□□社の電気通信技術者は、20〜29歳が30人、30〜39歳が15人、40〜49歳が25人)」

3号の ハ芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合

【認められる場合(例)】

○ 「演劇の子役のため、□歳以下の方を募集」
芸術作品のモデルや、演劇等の役者の募集・採用において、表現の真実性等のために、 特定の年齢層の労働者に限定して募集・採用することが認められます。 【認められない場合(例)】

■単に、特定の年齢層を対象とした商品やサービスの提供等が目的であり、芸術・芸能の 分野に該当しない場合

× 「イベントコンパニオンとして、30歳以下の方を募集」

3号のニ 60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の 施策を活用しようとする場合に限る。)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

60歳以上の高年齢者に限定して募集・採用する場合には、年齢制限をすることが認められます。

また、特定の年齢層の雇用を促進する国の施策(雇入れ助成金等)を活用するため、その施 策の対象となる特定の年齢層に限定して募集・採用する場合には、年齢制限をすることが認められます。

【認められる場合(例)】

○ 「60歳以上の方を募集」

○ (中高年齢者トライアル雇用の対象として)「45歳以上65歳未満の方を募集」

○ (若年者トライアル雇用の対象として)「35歳未満の方を募集」

【認められない場合(例)】

■60歳以上の高年齢者を募集・採用する際に上限年齢を付している場合
× 「60歳以上70歳未満の方を募集」

■募集・採用する年齢層を国の施策の対象となる特定の年齢層よりも限定している場合
× (中高年齢者トライアル雇用の対象として)「45歳以上60歳未満の方を募集」

<その他、認められない例>

× 「若者向けの洋服の販売職として、30歳以下の方を募集」
→業務内容を明示
○ 「10歳代後半から20歳代前半までの若者向けの洋服の販売であり、宣伝を 兼ねてその商品を着用して店舗に出る業務である。」

× 「高所作業を行う業務のため、55歳以下の方を募集」
→業務内容と必要な能力等を明示
○ 「建設現場における高所(10m以上)での作業を行う業務であり、この業務を継続していくためには、持久力と筋力が必要である。」

× 「長距離トラックの運転手として、45歳以下の方を募集」
→業務内容と必要な能力等を明示
○ 「長時間トラックを運転して、札幌から大阪までを定期的に往復し、重い荷物(□□kg程度)を上げ下ろしする業務であり、この業務を継続していくためには持久力と筋力が必要である。」

◆年齢制限を設ける場合における理由の提示

例外的に年齢制限を設ける場合(=例外事由のいずれかに該当する場合)において、上限 (65歳未満のものに限る。)を定める場合には、求職者、職業紹介事業者等に対して、そ の理由を書面や電子媒体により提示することが義務付けられています(高年齢者雇用安定 法第18条の2第1項)。

ただし、以下の場合に限り、理由提示の方法に関する特例が設けられています。

@新聞や雑誌、広告等を活用して、労働者の募集・採用を行う場合で、求人広告紙面の 制約により、詳細な情報の提供が難しいなどの理由から、あらかじめ当該広告等にやむを 得ない理由を提示することが困難な場合

A口頭により労働者の募集・採用を行う場合など、労働者の募集・採用の際に使用する書 面又は電磁的記録がない場合 この場合、事業主は、求職者の求めに応じて、遅滞なく、次のいずれかの方法により当該 理由を示すことができることとしております。

(1)書面の交付

(2)電子メールやFAXの送信、ホームページへの掲示等、求職者が記録された電磁的記録 を出力することにより書面を作成することができるもの

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