賃金の決め方は「人基準」か「仕事基準」④~年功給、職能給の問題点

前回まで、以下のようなお話をしてきました。

・賃金には、人を基準に決める属人給と仕事を基準に決める仕事給がある。
・属人給には年功序列給、能力給(職能給、以下能力給も職能給という)、仕事給には職務給、役割給がある。
・属人給のメリットは柔軟性である。このことが年功的定昇とあいまって柔軟な人材配置の実現、働く人の安心感につながっている。
・属人給のメリットを実現するには、「人員構成が若年層中心であること」、「能力のレベルがおおむね経験年数に比例していること」、「特定分野のスペシャリストより、複数の業務をこなせるゼネラリストの方が必要とされていること」の3つの前提条件が必要。

最後に述べた3つの前提条件が崩れてきており、年功序列型賃金は限界にきているように思います。
また、職能給も見直しが必要でしょう。

◆属人給のデメリットは?

属人給のデメリットとしてまず最初に挙げられるのが、「基準の曖昧さ」です。
このことが様々な問題につながっていくのです。

属人給の代表格である年功序列給がまさにそれでした。
年功序列給というと、同一「年齢」同一賃金と捉える向きがありますが、それは誤解です。
年功序列給でも差はつきます。ただ、その差が短期間では気がつかないほどの小さい差なのです。そしてこの小さい差が毎年積み上げっていき、定年までの長い時間をかけて選別が行われていくのが年功序列ということです。
このような「時間をかけた選別」の良し悪しは一概に言えませんが、問題は、差をつける基準が曖昧なことが多いということです。

素直に考えれば、「それなら曖昧にしなければいいではないか」となるのですが、1回の昇給でつく差がわずかなものであれば、手間暇かけて基準をつくり、手間暇かけて評価をする気にならなかったのだと思われます。

◆職能給の限界

それではいかんということで考え出されたのが、職能給でした。
これは実によく考えられた仕組みだと思いますが、基準が「能力」という捉えどころのないものにあったため、やはり曖昧さは払拭できませんでした。

実のところ職能給の本来のコンセプトは---
「職務に必要な保有している能力」
「職務を通じて発揮している能力」
---これらを基準にしています。

しかし、実際の設計や運用では、この「職務を通じて」という部分が曖昧になってしまっていました。
加えて「保有している能力」という、把握するのが難しいものを基準にしていたのも、曖昧さを助長していました。
特に、いわゆる「知識労働者」の場合、この問題は決定的な欠陥となっていたのです。

 

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2019年05月13日