就業規則の実際(42)~賃金(3)

賃金支払の5原則

労働基準法では、賃金支払に関する規定をおき、賃金が確実に労働者の手元に渡るようにしています。

これを「賃金支払の5原則」といいます。

1)通貨払いの原則
2)直接払いの原則
3)全額払いの原則
4)毎月払いの原則
5)一定期日払いの原則


労働基準法
第24条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

②賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金については、この限りでない。

 

通貨払いの原則

賃金は現金で支払わなくてはなりません。
現実には、口座振込みにしている会社が多いと思いでしょう。
しかし、念頭におかなくてはならないのは、口座払いはこの「通貨払いの原則」の例外だということです。

ではどのような場合に認められるかというと、次の通りです。
①本人の同意がある
②本人名義の口座に振り込む
③賃金支払日の午前10時までに引き出し可能である

「同意」と言っても、改めて「同意書」を書いてもらう必要まではありません。
たとえば本人が、「給与振込み申請書」などの用紙に口座番号などの必要事項を記入して提出すれば、それで同意となります。

最大のポイントは「本人名義の口座」という点です。
ここはきちんとチェックしましょう。


また給与を現物支給する場合は、労働組合との労働協約が必要です。
(労使協定ではありません。)

最近は少なくなりましたが、業績不振で給与の代わりに自社製品を支給するということを、会社が一方的にやることはできません。

これは、誰が考えても問題だということが分かります。
間違えやすいのが、次の2つ。

<小切手>
これも現物支給になります。
ただし、退職金については一定の要件を満たせば小切手払いが認められます。

<通勤定期>
通勤手当の支給に変えて通勤定期を会社が購入して従業員に渡すのも、現物支給の扱いになります。
従業員の便宜をはかっているつもりでも、労働協約なしにやると、法違反となりますので注意してください。

労働協約は労働組合でないと締結できません。(この点が、過半数代表者が締結できる労使協定と異なる点です)。
したがって、労働組合のない会社は、定期券の現物支給はできません。

 

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2019年02月26日