働き方改革への取組(20)~フレックスタイム制の見直し③
一連の働き方改革関連法制で、フレックスタイム制の規制緩和が図られました。
今回もその解説を続けます。
法定労働時間の総枠
フレックスタイム制の見直し②でご説明した通り、フレックスタイム制では清算期間の法定労働時間の総枠と総実労働時間の差を時間外労働とします。
具体的な時間を、清算期間1ヶ月の場合と3ヶ月の場合でお示しします。(週の法定労働時間が40時間の場合)
<清算期間1ヶ月>
清算期間の暦日数 法定労働時間の総枠
31日 177.1時間
30日 171.4時間
29日 165.7時間
28日 160.0時間
<清算期間3ヶ月>
清算期間の暦日数 法定労働時間の総枠
92日 525.7時間
91日 520.0時間
90日 514.2時間
89日 508.5時間
完全週休2日制の場合、不具合が
このように清算期間の平均週数を使うというかたちで時間外計算をするのが原則ですが、この方法だと、その月の暦日数、所定日数によって不具合が生じることがあります。
完全週休2日制をとっている会社で、ある月の暦日数が31日、所定労働日数が23日の場合、上記の法定労働時間の総枠は177.1時間です。
仮に実働時間が毎日8時間、休日労働がなかった場合、この人の実労働時間は8時間×23日で184時間、したがって時間外は184時間-177.1時間=6.9時間となります。
これもおかしな話です。
フレックスタイム制適用でなければ、この人の時間外は0なのですから。
このような不具合を避けるため、労働基準法32条の3の3第3項には、1週間の所定労働日数が5日以下の場合、労使協定により、労働時間の限度を清算期間の所定労働日数に8時間を乗じた時間とすることができる旨が定められました。