就業規則の実際(26)~労働時間、休日、休暇(9)

36協定

災害その他避けることのできない事由で臨時の必要があれば時間外労働をさせることができます。
しかしそしてその場合、単なる業務の繁忙その他、これに準ずる経営上の必要は認められません。

「そんなこと言っても、忙しいときは残業してもらっている。これは違法なのか?」
こんな疑問がわくと思います。
「そんなことはないだろう。もしそうなら、世の中の会社のほとんどは、労基法違反を犯していることになってしまう」
確かにそうなんです。法律が求める要件を満たしていないと、違法です。

それでは、どんな要件を満たしていれば、業務繁忙などの場合に時間外労働をさせることができるのでしょうか。

それが、いわゆる「36協定」と言われる労使協定です。この労使協定を結んでいれば、業務繁忙などの経営上の必要があるときに、時間外労働を命じることができます。(それとは別に、就業規則などの定めは必要ですが)。

具体的には、使用者が
1)事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があれば、その労働組合、そのような労働組合がない場合は、労働者の過半数代表者と
2)書面による協定を結び、
3)その協定を所轄労働基準監督署長に届け出れば
――協定の定めに基づいて、時間外労働、休日労働をさせることができるということです。

「そんなの見たことない」
まぁ、普通はそうでしょう。
でも、誰も見たことがなかったり、人事部門の方も協定の存在を知らないということだと、問題です。一度、ご確認することをお勧めします。

36協定で定めなくてはならないことは、次の通りです。
①労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
②対象期間(1年間に限る)
③労働時間を延長し、又は休日に労働させることができるのはどんな場合か
④対象期間における1日、1ヶ月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
⑤労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項

⑤は次の通りです。
1)協定の有効期間
2)1ヶ月、1年の起算日
3)特別条項について
・限度時間を超えて労働させる事由
・限度時間を超えて労働させたときの割増賃金率
・特別条項発動の手続
・健康・福祉確保措置

※2019年4月1日施行の改正法に基づいています。


この協定には、時間外労働の限度時間を定めなくてはなりません。

これまでは、労働基準法第36条第2項に限度時間の基準が定められており、協定の内容は、この基準に合致したものとなるようにしなければならないとされていました。

この点が法改正により時間そのものが条文に定められ、かつ、「限度時間を超えない時間に限る」と、超えることが許されない義務となっています。

限度時間の上限は、1ヶ月45時間、1年360時間となっています。
ただし、1年単位の変形労働時間制で、対象期間が3ヶ月を超える場合は1ヶ月42時間、1年320時間です。

ここで注意しなくてはならないのは、1ヶ月と1年それぞれの限度時間の関係です。
たとえば、月々の時間外が40時間で推移した場合、1ヶ月の限度時間は超えません。しかし、この状態が9カ月を超えて続くと、1年の限度時間である360時間を超えてしまうのです。
単月の管理だけでは足りないということですね。

 

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2019年01月23日