就業規則の実際(15)~服務(5)

兼業禁止規定はどこまで有効か?

兼業禁止規定を設けている会社は少なくありません。

会社の従業員は、会社に対して「職務専念義務」を負います。
つまり、会社の業務に専念し、誠実に業務を遂行するということです。

その点から、会社の業務以外の業務に就く、いわゆる兼業を禁止することも、妥当なことと言えます。

ただ、このような規定を、プライベートな時間にまで及ぼすことができるかという問題があります。
上記の職務専念義務が対象になるのは、原則として就業時間中のことです。
就業時間外は、本人の自由な時間です。


しかし、プライベートな時間に対して、会社の規制は一切及ぶことはないのか?
あるいは、及ぼすことはできないのか?

そのようなことはありません。

この点は、「服務(2)」のパートでもお話した通り、会社の名誉を傷つけるような行為は、私生活上といえども禁止できます。
飲酒運転も同様です。(「服務(3)」)

では、兼業はどうなのでしょうか?

この点、判例は、会社の信用などに与える影響や本業に与える影響を判断基準にしています。

「労働者がその自由なる時間を精神的肉体的疲労回復のため適度な休養に用いることは次の労働日における誠実な労務提供のための基礎的条件をなすものであるから、使用者としても労働者の自由な時間の利用に関心をもたざるをえず、また、兼業の内容によっては企業の経営秩序を害し、または企業の対外的信用、対面が傷つけられる場合もありうるので、従業員の兼業の諾否について、労務提供上の支障や企業秩序への影響等を考慮した上で会社の承諾にかからしむる旨の規定を就業規則に定めることは不当とはいいがたい」

つまり兼業制限が有効とされるのは、次のような場合になります。

・兼業が不正な競業にあたる場合
・働き過ぎによって健康を害するおそれがある場合
・兼業の態様が会社の社会的信用を傷つける場合


したがって、個々の事情にかかわらず、あらゆる兼業を禁止するというわけにはいきません。

 

会社の許可を必要とするということは?

兼業が問題ないかどうかを、従業員が勝手に判断していいものではありません。
会社にどのような影響があるかを、会社が判断する必要があります。

したがって、兼業を会社の許可制にするという規定を設けるのは有効です。

 

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2019年01月08日