就業規則の実際(14)~服務(4)

企業秘密の保護

技術情報、新製品情報、アライアンス情報、ノウハウ情報など、企業秘密は多岐に渡ります。
企業秘密の保持は、会社の存亡に響く重要事項です。

PC、インターネットが一般化したデジタル社会の今日、会社は情報保護に、最新の注意を払わなくてはなりません。

就業規則とは別に、情報保護規定を設けることも、検討した方がいいでしょう。

 

関連法制との関係

まず上げられるのが「個人情報保護法」、そして、同法施行に伴い厚生労働省が「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」を出しています。

また、不正競争防止法では営業秘密を、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定義し、それを不正の競業その他の不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、または開示する行為を不正競争としています。
同法は、営業秘密としての要件を具備し、かつ不正の利益を得る目的がある行為を禁止しています。

 

在職中は秘密保持義務を当然に負う

会社の従業員が、企業秘密を保持しなくてはならないのは、当然のことと言えます。
これは、仮に就業規則などに明記されていなくても、労働契約上当然に発生する、「誠実義務」のひとつと言っていいでしょう。

判例でも、「労働者は労働契約に伴う付随義務として、信義則上、使用者の利益をことさら害するような行為を避けるべき義務を負うが、その1つとして使用者の業務上の秘密を漏らさないとの義務を負うものと解せられる」として、労働者の守秘義務を労働契約に当然に付随する義務と定義しています。

 

退職後の秘密保持義務、競業避止義務

ここは議論のあるところです。

退職後も、どこまでその人は守秘義務を負うのか?
この義務が無制限に存在するのだとすると、労働者の自由を不当に制約することになりかねません。

これについては、会社と本人との間に、秘密保持に関する特別な合意がある場合に、退職後の秘密保持義務が成立すると考えられます。

また、競業避止義務とは、競合関係にある会社への就職をしないという義務です。
社員がライバル会社に転職して、身につけたノウハウ、知識、情報などを活用されるのは、会社としては避けたいところです。

しかし、これも、職業選択の自由との関係もあり、制約があります。
やはり、特別な合意がある場合に成立すると考えていいでしょう。
そして具体的な判断にあたっては、次のような要素が考慮に入れられます。

・労働者の地位
・競業制限の対象期間、地域などからみて労働者の職業選択の自由を不当に制限していないか
・競業制限に対する代償措置


では、退職後の守秘義務、競業避止義務を有効にするためには、何をしたらいいのでしょうか?

まずひとつは、就業規則に、退職後の守秘義務、競業避止義務に関する定めを置くことです。
期間、地域など、できるだけ具体的なものにした方がいいでしょう。
ただ、業務内容、労働者の地位によって、一概に定義できないこともあるでしょうから、その点も考慮に入れた定め方をします。

もうひとつは、退職時に誓約書を書いてもらうことです。
これは個別的なものになりますから、就業規則よりも具体的にします。

 

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2019年01月08日