退職、解雇をめぐるトラブルと就業規則⑦~中途入社、成果が上がらずに解雇通告③

新卒入社と中途採用入社では解雇の判断が異なる

ではこの事例のような能力不足による解雇は、どうなるのでしょうか?

就業規則では(2)の「勤務成績または勤務状況が不良で、改善の見込みがないとき」にあたります。
この判断は、対象者が新卒入社か経験を買われて入社した中途入社かによって異なります。
それは、「会社で教育することを前提に採用したのか、即戦力として採用したのか」の違いによるものです。

新卒の場合、最初は戦力としての期待を会社はしません。
戦力にならないこと承知の上で、そのポテンシャルに期待し、入社後の教育で育てていくことを前提に採用しているのです。
この点が欧米とは異なる、日本の新卒一括採用方式の特徴ということになります。

その代わりに、会社は採用した社員の配属や人事異動については、かなり自由に行うことができるわけです。
ですから、新卒で入社した場合は、能力が不足していることをもってただちに解雇されることは、よほどのことがなければないと思っていいでしょう。
(だからといって、新卒で入社した会社なら、仮に能力が足りなくても定年まで安泰などと思ってはなりません。就業規則の例でも示したとおり、「改善の見込みがないとき」は解雇される可能性もあるのですから。)

一方、中途採用、特に即戦力として働くことを前提に採用された場合は、事情がちがってきます。
このような場合、採用試験の段階で、会社がその人に何を求めているかが示され、その求めに応じるという約束で入社することが多く見られます。
それにもかかわらず、会社が求める働きができなかった場合、約束違反ということで解雇となる可能性はあります。

もっともこれは、採用試験や入社のときに、どのような約束をしていたのかにもよります。
「1年目で売上○○%アップ」などと具体的な目標数字などを約束していれば、それを達成できなかったときは、解雇となる可能性が高くなります。
一方、「業績向上に貢献します」といった、内容が漠然としていて、期限もはっきりしていないような話になっていた場合は、目標未達を理由にしてただちに解雇するのは不当とされる可能性が高いです。

 

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2019年12月12日