退職、解雇をめぐるトラブルと就業規則③~自己都合退職はいつまでに会社に言うべきか③

あなたがAさんなら①

このように、法律的に見れば、Aさんが退職を申し出たのが3週間前であっても、また、会社が承認しなくても、退職することは可能です。

しかし就業規則に、「30日以上前」、「会社の承認」といったことが定められているのは、それなりの意味があります。
退職に伴うもろもろを問題なく済ませ、その人が辞めた後でも業務がスムースに流れるようにするということです。

常識的に考えても、引き継ぎや挨拶回りなどには、1ヵ月程度はかかるのではないでしょうか。
会社の就業規則も、そのようなことが問題なくできるように、かつ、退職した後もいい関係が保てるようにという思いを込めて就業規則に上記のようなことを定めているのでしょう。
そうであれば、今後の職業人生を考えると、やはりそこは無視しない方がベターです。

Aさんは転職しようと思い立った時点で、会社の退職に関する決まり事を確かめる方がよかったと思います。
そして、転職先から入社日の話が出た時点で、就業規則のルールを話し、その上で入社日を調整するということです。
退職願を出すのは、そうしたことのメドが立ってからにする方が話はスムースにいきます。

しかしAさんは既に上司に退職願を出しています。
そして「2ケ月程度は」と言われているわけです。
であれば、Aさんは転職先に、就業規則の「30日前」という決まりと、上司の「2ケ月程度は」という話を出して、相談してみてください。

転職先にも都合があります。
人材をできるだけ早く確保したいという思いもあるでしょう。
しかし、「30日先」ということはできるだけ納得してもらうようにした方がいいですね。
30日程度待つのは、常識的な話ですから。

ただ、「2ケ月」というのはどうかなと思います。就業規則の決まりはあくまでも30日ですし、実際、そこまで引っ張るのは疑問を感じます。
転職先とも相談し、30日と2ケ月の間で折り合いをつけるのが、現実的でしょう。
また、転職先が「何とか30日で」と言ってきたら、それにできるだけ応じるようにするのがいいですね。

もし転職先が「それでは困る。当初の話通り、3週間後には入社するように」と言ってきたら?
この場合、私は、転職自体を考え直した方がいいように思います。
その会社は、Aさんの事情を全く無視して、自社の都合しか考えていないわけです。そのような会社に転職しても、いい職業生活が送れるか、疑問を感じます。
そのようなこともあり得るから、退職願を出すのは、ある程度の調整がついてからにした方がいいのです。

上司には誠意をもって対応してください。
Aさんが突然退職願をもってきて、上司も当惑していると思います。
そこで、Aさんがあまり我を通すような態度に出ると、事態は悪化します。
前述の通り、転職は「発つ鳥後を濁さず」でいくのがベストです。
今後も、辞めた会社とどのような付き合いが出るか分からないのですから。
引き継ぎや挨拶回りはもれなく行うことを話し、承認をもらうようにしてください。

一方、上司が「2ケ月」に固執するようでしたら、Aさんも強く出ていいと思います。
就業規則の決まりを出して、毅然と対応しましょう。

 

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2019年12月05日