労働時間をめぐるトラブルと就業規則⑤~自宅持ち帰り仕事⑤

◆あなたがAさんなら①

労働時間にまつわる問題はいろいろな要素が絡んできます。
その中で、ポイントになってくるのが、前回まで述べてきた「指示」、「承認」、そして「業務量」、「業務状況」といったことなのです。
今回のケースではこれに、「会社の方針」も絡んできそうです。

とりあえず、自宅仕事という点をわきに置いて考えていきましょう。

そうなると、Aさんの会社、あるいは職場ではこれまでどのような残業管理がなされていたかが、第一のポイントになります。

これまでは、部下は必要に応じて自発的に残業を行い、上司の事後承認を得ていたとします。
そうであれば、特別な理由もないのに今回だけ突然認めないというのは、おかしいということになります。

逆に、残業は原則として事前承認を得ることになっていたのであれば、Aさんが翌日なって残業承認を求めるのはルール違反です。

次に考えなくてはならないのは、前述の「会社の方針」。
「会社からは労働時間短縮の方針が出されたばかりで」(労働時間をめぐるトラブルと就業規則①~自宅持ち帰り仕事①)とあります。
そうであれば、これまでと同じように仕事をしているわけにはいかなくなります。
ルールが変わったわけです。「自己判断で必要に応じて残業をする」のがこれまでのルールなら、「可能な限り残業はしない、残業は例外」というのが新しいルールなのです。

ただ、この事例の場合、残業は一切してはならないのか、原則なしなのか、あるいはできるだけ少なくするようにということなのかが、はっきりしません。
残業に関する会社の方針をきちんと確認する必要があります。
また、「夜遅くまで残っていると上司がいい顔をしない」ということですが、それなら、どの程度が許容範囲なのか、話し合ってもいいのではないでしょうか。

さらに言えば、Aさんは「残業になると言うと、上司にイヤな顔をされる。面倒だから家に持ち帰ろう」と思ったのかもしれませんね。
気持ちは分かりますが、やはり業務に関することなのですから、きちんと話すのがスジです。

では、自宅に仕事を持ち帰ったという問題はどうでしょうか?
これは、前述の通り、就業規則に、在宅での仕事を認めるようなことが書かれていない限り、認められなくても仕方ありません。

 

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2019年10月02日