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社員を定年後、再雇用するときの社会保険・雇用保険(1)

65歳までの雇用義務

会社は、働く人を65歳まで雇用する義務を負っています。(この義務を65歳までの「雇用確保措置」といいます)。
この義務を課しているのが「高年齢者雇用安定法」という法律です。

雇用確保措置には、次の3通りがあります。

①65歳までの定年延長
②継続雇用(65歳未満で定年退職、その後再雇用)
③定年制廃止

この中で一番多いのが、2番目の「継続雇用(定年後再雇用)」です。

 

例外措置と経過措置

 

継続雇用には、①例外措置と②経過措置があります。

 

継続雇用(再雇用)の例外措置

 

心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないことなど、解雇事由・退職事由に該当する場合には、継続雇用しないことができます。

ただし、あらかじめ就業規則に定められていること以外の理由で、継続雇用しないということはできません。

 

継続雇用(再雇用)の経過措置

 

2013年3月31日までに労使協定が締結されていれば、生年月日に応じ、一定年齢以降は再雇用に条件をつけることができるという経過措置が設けられています。

「条件」として、人事評価や健康状態などがあげられます。
客観的なものでなくてはなりません。

また、経過措置は以下の通りです。

昭和28年4月2日~昭和30年4月1日生まれ:61歳
昭和30年4月2日~昭和32年4月1日生まれ:62歳
昭和32年4月2日~昭和34年4月1日生まれ:63歳
昭和34年4月2日~昭和36年4月1日生まれ:64歳


再雇用をした場合、社会保険上どのようなことが発生するのか、次回以降解説していきます。

 

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2019年08月22日

入社、採用、試用期間をめぐるトラブルと就業規則②

◆試用期間とは


ほとんどの会社には「試用期間」というものがあります。
入社して3ヶ月など一定の期間は、「お試し期間」という位置づけにし、その間に社員としての適性を会社は見極めるわけです。

ここで「適性あり」と判定されれば、正式採用となります。
しかし、「適性なし」と判定されれば、正式採用とはならないわけです。これを「本採用拒否」といいます。

 

 

用試験を経て内定をもらい、かつ、入社までこぎつけたのに、まだ正式採用にならないのかと思われるかもしれませんね。
でも、このようなことを会社がするのは理由があります。それは次の2つです。

①採用試験だけではこの先、長期に渡って会社で働いてもらって本当にいいか、判定し切れない。
②日本の解雇規制は厳しい。一度正式採用したら、よほどのことがないと解雇できない。

日本の雇用ルールの基本は長期雇用にあります。

まず、会社の人材戦略がそうなっています。そうすることで、会社独自のノウハウを身に着けてもらうわけです。もちろん、全てがそれで完結しているわけではなく、外部から新しい血を導入する、必要に応じて短期間働く人を雇うといった施策を組み合わせていくわけですが、ベースにあるのは長期雇用です。

法制もそれを後押しというか、その方向に誘導・規制しています。
労働契約法では、期間限定雇用である有期契約労働者についても、5年以上契約更新をしているなどの要件があれば、無期雇用とすることを会社に義務付けています。

そのようなことがあるため、会社は、社員を正式採用するまでに何段階ものステップを踏むわけです。
就職・転職活動をしている方や転職を考えている方、あるいは、新卒や中途で入社して日が浅い方は、この点を十分認識するようにしてください。

では、就業規則には、この試用期間についてはどのように書かれているでしょうか?
たとえば、こんな内容だったとします。

(試用期間)
第○条 新たに採用した者については、採用の日から3ヶ月間を試用期間とする。ただし会社が特に認めたときは試用期間を設けないか、期間を短縮することがある。
2.試用期間の途中または終了時に、能力、勤務態度、健康状態等に関して社員として不適当と認められる者については、定められた手続きによって解雇する。
3.社員としての適格性を判断するために必要と認めたときは、最大3ヶ月の範囲で試用期間を延長することがある。
4.試用期間は、勤続年数に通算する。

試用期間の長さは会社によって様々ですが、2ヶ月~6ヶ月というのが一般的です。

いずれにしろ、このような内容で、会社が新しく採用した社員を、試用期間を使って正式採用するかどうか判定すると定めています。
いわば「最終判定」ということですね。

 

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2019年08月21日

社員が病気やケガで長期に休んだときの社会保険~私傷病(2)

傷病手当金受給手続

 

傷病手当金の支給を受けるためには、被保険者本人が「健康保険傷病手当金支給申請書」を健康保険協会または健康保険組合に提出します。

提出するのは本人ですが、本人任せにはせず、会社が用紙を入手し(協会健保の場合、健康保険協会のホームページからダウンロードできます)、説明・指導するようにします。

提出期限は「速やかに」としか決まっていません。
ただし、この給付の時効は2年となっていますので、要注意です。

現実には、ご本人の生活がありますから、1か月程度で手続きを進めるようにするのがいいですね。
また、健康保険組合によっては、提出期限を指定していることもありますので、ご担当の方は事前に確認してください。

申請用紙には、本人以外に、会社、医師が記入・証明しなくてはならない部分があります。

会社が記入・証明するのは、勤務状況(病欠、有給休暇、出勤など)と、賃金支払い状況です。

また、医師には、傷病名、傷病の状況、労務不能の期間などを記入・証明してもらいます。
本人から医師に依頼するようにしてもらいます。

 

 

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2019年08月20日

入社、採用、試用期間をめぐるトラブルと就業規則①

【事例:試用期間中にミスを連発…どうなる?】

Aさんは厳しい就職戦線を切り抜け、大学卒業後、中堅のメーカーに就職しました。
2週間の新人研修を終えて営業部に配属されて1ヶ月、3ヶ月の試用期間の半分近くが過ぎ、少しずつ仕事にも慣れてきました。


そんなある日、Aさんは注文伝票の入力を間違えてしまいました。
そのため、顧客に注文とは違う商品が届いてしまったのです。
上司のBさんはAさんを厳しく注意するとともに、先輩社員のCさんにも、入力チェックを怠らないよう指示しました。


ところが2週間後、Aさんはまた同じミスをしてしまいました。しかも、同じ顧客に対してです。
2度立て続けに同じことがおこったので、顧客の怒りも前回より強く、「今度同じことがあったら取引停止も考える」と伝えてきました。


Bさんは、Cさんのチェックはどうだったのかを確認したところ、AさんはCさんのチェックを受けないまま注文の確定処理をしてしまっていたことが判明しました。
Aさんに、なぜこのようなことをしたのか問い質したら、「納期まで余裕がなかった。Cさんはその日、終日外出で、直帰だったので、仕方がなかった」という弁明でした。


Bさんは考え込んでしまいました。


Aさんは性格は明るく、業務にも前向きです。上司や先輩の指導も素直に聞きます。
しかし、注意力に欠け、軽率なところがあり、これまでも細かいミスが何度もありました。
このままだと取り返しのつかないことが起こりそうです。


営業部の人員に余裕はなく、Aさんのフォローにそうそう時間を割いているわけにはいきません。
できれば営業部以外の部署に配置転換させたいところですが、どの部署も、余分な人員を抱え込む余裕はなさそうです。

◆問題の所在


いわゆる「試用期間」中の出来事です。


試用期間とはそもそもどのようなものか、その間に会社は新入社員の何を判定するのか、そして、実際に試用期間の結果、正式採用しないということがあり得るのか、あるとしたらそれはどのようなときかが、ポイントになります。


また、適性や能力に問題がある社員に対し、会社は人事異動などをすることができるのか、あるいは、それをしなくてはならないのかという問題もからんできます。

次回、詳しくみていきましょう。

 

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2019年08月19日

社員が病気やケガで長期に休んだときの社会保険~私傷病(1)

社員が病気やケガで会社を休んだような場合、健康保険から「傷病手当金」が出ます。

病気などで仕事ができないと、会社から賃金が出なくなります。
このような場合のセーフティネットということですね。

なお、ここでいう病気やケガは、私傷病が対象です。
業務上の場合は、労災保険が適用になります。

<傷病手当金の支給要件>

(1)療養のために休んでいること

まぁ、当然といえますが。

ここでいう「療養のため」とは、病院にかかっている場合に限ったことではなく、自宅療養なども含まれます。

(2)労務不能であること

これも当然ではあります。

労務不能といっても、床にふせって動けないことまでは求められていません。
通院のため会社に行くことができないような事情にある場合なども含まれます。

(3)継続して3日間の待機期間があること

ある程度の日数以上、労務不能で休むことが必要だということです。

「継続して」というのがポイントです。
2日休んで、1日出勤、その翌日また休んだという場合は、待機期間を満たしたことにはなりません。

3日は、労働日でなくても構いません。
休日などが間にあっても、待機となります。
また、その日を年次有給休暇にしても、OKです。


<傷病手当金の支給期間、支給額>

傷病手当金の支給期間は、支給開始から1年6ヶ月までです。

「支給開始から」という点がポイント。
休み始めてからではありません。

たとえば、最初の6ヶ月は会社から賃金が出ていたという場合、傷病手当金は出ません。
しかし、6ヶ月を経過しても労務不能状態であれば、経過してから1年6ヶ月まで支給されます。

一方、3ヶ月支給を受けた後、業務復帰したものの、3ヶ月経過した時点で症状が悪化し、再度休み始めたような場合は、最初に支給を受けてから1年6ヶ月が支給期限です。

傷病手当金の額は、休業1日につき標準報酬日額の2/3です。

休業期間でも会社から賃金が出ている場合は支給されません。
ただし、その額が傷病手当金の額に満たない場合は、その差額が支給されます。

 

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2019年08月19日
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