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働時間をめぐるトラブルと就業規則②~自宅持ち帰り仕事②

自宅持ち帰り仕事ををめぐる問題は次の2つに整理して考えます。

①自発的残業はどこまで認められるか?
②自宅持ち帰り仕事の時間は労働時間となるか?

残業は上司の命令によって行うのが原則です。
就業規則の記載も、「時間外、休日労働を命じることがある」という記載になっているのが一般的です。

しかし、現実は必ずしもそうではありません。部下が自分の判断で残業をし、上司がそれを事前または事後に承認するというやり方が多く見られます。

その理由のひとつは割と単純で、終業時刻に上司が席にいるとは限らないということ。

そして、もうひとつの、もっと本質的な理由は、部下の業務の状況を上司が完全に把握しているわけではないこと。
「それではダメだ。上司は部署の業務の内容や進捗状況などを細部に至るまで完全に把握していなくてはならない」と言う人がいますが、それはまず不可能です。それは次の理由からです。

①業務が複雑化・高度化しており、上司といえども、すべての業務を細部まで把握することはできなくなっている。
②上司自身がプレイングマネジャーとして自分の業務を抱えており、マネジメント業務に専念できるわけではない。

余談ですが、あなたが部下で、「ここは上司に分かっておいて欲しい」とか「ある時点から上司を巻き込む必要がある」という事情があれば、業務の状況を、上司に求められなくても適宜報告する必要があります。
また、あなたが上司なら、部署の主要業務・重要業務のことや、押さえておくべきポイント的なことは部下から報告を求めるようにしましょう。
こういうことが、職場のコミュニケーションなのです。

話が横道にそれましたが、そのような事情から、残業の多くは「自発的残業」つまり、「今日は○○の業務で○○時間残業になります」と自己申告するという形をとっています。(自発的残業についての記載がある就業規則もありますね)

では、この自発的残業はどのような場合に、どこまでが認められるのか。
残業をやる本人、やらせる上司はそれぞれ、どう対応するべきなのか。
これが問題の一番目です。

次は自宅持ち帰り残業。いわゆる「風呂敷残業」ですね。

働き方改革の中、在宅勤務が注目を集めまています。
しかし、今回はそのような制度がない場合です。(就業規則にも記載がないということです)。

果たして自宅や帰宅途中の喫茶店などで仕事をすることが認められるのでしょうか。
もしそうするしかない場合、どう対応すべきなのでしょうか。
これが問題の二番目になります。

 

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2019年09月18日

社員が業務災害、通勤災害にあったとき(2)

社員が業務災害にあった場合、会社はどう対応すべきかを解説します。

 

<事故発生直後の対応>

 

◆まずは労災指定病院へ

 

事故が起こったら、当然のことながら、被災者の治療・処置を最優先させます。

最寄の労災病院か労災指定病院で治療を受けさせましょう。傷病の状況にもよりますが、職場の同僚や管理者、あるいは担当者が同行するのがいいでしょう。

この際、必ず病院の窓口で、労災である旨を伝えます。これにより、労災保険による療養(これを療養補償給付といいます)を受けることができます。

また、人事部などの担当部署は、事業所近隣の指定病院等を日ごろから把握しておくようにします

なお、指定病院でないところで治療を受けてしまった場合でも、療養補償給付を受けることはできます。ただしこの場合、治療費はいったん自分で支払い、その分を後日現金給付を受けるというかたちになります。

また、健康保険で治療を受けてしまった場合でも、その分を労災保険に切り替えることができます。詳しくは後述します。

 

◆事故の状況の聴取・把握

事故が起こったら、その状況を把握します。
険給付の請求書にも記載しますので、次の事項を具体的に把握し、記録にとっておいてください。

・事故発生の日時
・事故発生の場所
・事故発生時に行っていた業務
・事故の内容
・傷病の内容

 

◆周辺状況の把握

事故に関連し得る周辺状況も把握しておきます。これは、次の2つの点から、欠かせないものです。

①訴訟などのトラブルが発生したときの備え
②労災事故の再発防止

把握しておくべき事項は、次の通りです。

・事故現場の作業環境(通路、照明、荷物・備品の保管状況)
・安全衛生対策の実施状況
・作業手順、手順書遵守状況
・被災者の労働時間等

 

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2019年09月17日

労働時間をめぐるトラブルと就業規則①~自宅持ち帰り仕事①

【事例:自宅持ち帰り仕事は認められる?】

Aさんは明日までに企画書を上司に提出するよう命じられましたが、提出日の前日になってもまだ完成していません。残業をして企画書を仕上げるしかない状況です。

しかし会社からは労働時間短縮の方針が出されたばかりで、会社に夜遅くまで残っていると、上司がいい顔をしません。

加えて、Aさん自身も、いったん帰宅して一休みをしてから仕事に取りかかりたいと思ったため、自宅に仕事を持ち帰り、企画書を完成させました。

翌日、上司に企画書を提出し、併せて、自宅作業の2時間分を残業申請しました。

ところが上司は、「自宅で仕事をすることなど認めていない」と残業申請を承認してくれません。

実際に仕事をしたのだし、残業になったのは上司に指示された締め切りを守るためです。
Aさんは納得がいきません。

◆問題の所在

この問題は次の2つに整理して考える必要がありますね。

①自発的残業はどこまで認められるか?
②自宅持ち帰り仕事の時間は労働時間となるか?

次回、この2点を見ていきましょう。

 

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2019年09月13日

社員が業務災害、通勤災害にあったとき(1)

社員が業務災害や通勤災害にあった場合、労災保険から保険給付を受けることができます。

労災保険の手続きは本人がやることになっていますが、本人まかせというわけには現実にはいきません。
また、会社が証明をするべき事項もあります。

業務災害が起こった場合、労災保険の手続きだけで終わりではありません。
それとは別に会社が届け出なくてはならないこともあります。


◆業務災害と通勤災害

労災保険給付の対象になる事故(負傷や疾病)には、「業務災害」と「通勤災害」があります。

どちらの事故に対しても、労災保険の給付がされますので、一般の方はこれらを区別して考えることはあまりありません。

しかし、後で述べるように、保険給付の内容や労働基準法上の保護措置が両者では異なりますので、実務家の方はこの2つを区別するようにしてください。

業務災害と通勤災害では、労災保険給付の名称も若干異なっています。
ここでは、業務災害の保険給付の名称を使うことにします。
また、保険給付内容については、特段の説明がなければ、業務災害、通勤災害ともに同じとお考えください。

◆労災保険給付には何があるか

業務災害、通勤災害それぞれの給付は次の通りです。

詳細は後述しますので、ここでは、「どんな場合に、どんな給付が受けられるのか」をつかんでください。

※(業):業務災害、(通):通勤災害

・労災指定病院等で療養するとき:療養補償給付(業)、療養給付(通)

・療養のため業務に就けず、賃金を受けられないとき:休業補償給付(業)、休業給付(通)

・傷病が治癒し、一定程度以上の障害が残ったとき:障害補償給付(業)、障害給付(通)

・療養開始後1年6ヶ月経過しても傷病が治らず、一定程度以上の障害があるとき:傷病補償年金(業)、傷病年金(通)

・一定程度以上の障害で介護を必要とするとき:介護補償給付(業)、介護給付(通)

・死亡したとき:遺族補償給付(業)、遺族給付(通)

・葬祭を行うとき:葬祭料(業)、葬祭給付(通)

 

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2019年09月12日

経験豊富な一般職の活用、戦力化

9/6の日経に、トヨタが意欲のある一般職に総合職と同様の昇進の道を開く上位資格の導入を検討しているという記事が掲載されていました。

記事によると、同社は一般職にあたる業務職のうち自分の裁量で企画立案したり、業務を遂行したりできる係長級一歩手前の資格を新設する方向で調整に入ったということです。

「一般職」というと、決まりきったルーティン業務をこなす低位レベルの職位という捉え方が多いように思われます。
また、成果といってもルーティン業務を正確にこなすところまでで、それ以上の価値は出しようがないと思っている方も少なくありません。
やりがいと言っても限界があると本人も上司も思っていたりします。

しかし、会社を支えているのはこうした一般職の人たちなのです。
また、一般職の業務に付加価値ややりがいがないというのは誤りです。

たとえば、営業のバックオフィスで事務を担当している人はは顧客への問い合わせに対応します。
そのため、担当者向けに、対応方法などのマニュアルが作られ、新任担当者にその説明がされます。
ここまでは、どの会社でもやっていることでしょう。

しかし、それだけにとどまっていて本当にいいのか、考える必要があります。

この担当者のミッションは何か?

まず、問い合わせに対して、マニュアルや手順書に従って正確に応えるということが上げられます。
この機能がなかったり、きちんとなされていないと、顧客からクレームが入り、営業担当者が対応に追われるという「困ったこと」になります。

しかし、問い合わせ対応という業務はこれだけにとどまるわけではないはずです。

この業務の最終目的は、顧客の、会社の対応に関する満足度を上げ、取引を継続してもらうところにあるはずです。

そのような観点でこの業務で担当者に求められる行動を考えると、次のようになります。

・問い合わせに迅速・的確に対応する。
・顧客に好印象を与える対応をする。
・顧客との会話の中で、相手のニーズや不満を聞き出す。
・会話の中で得た情報を営業担当者に伝え、営業提案をする。

単にマニュアル通りの受け答えをするだけの場合と、上記のような意識で対応をするのとでは、部門の成果は相当異なってくるのではないでしょうか。

このように考えていくと、一般職の活用、戦力化は次の2つの観点で考えていくのがいいと思われます。

・一般職の業務の、部門業務・会社業務全体における位置づけ、ミッションを明確にする
・今回のトヨタの事例のように、一般職から総合職への転換の道を開く

 

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2019年09月11日
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